【完】『けったいなひとびと』
会見
この日のスケジュール説明は晴加が担当で、駿とさとみ、舞の三人は仕事の準備に取り掛かっていた。
拭き掃除をしながら舞は、
「五十嵐先輩、さっきのエレベーターのとこにいたイケメン、あれ誰なんですか?」
出し抜けに訊いてきた。
「あれね、社長の昔の知り合いらしいよ」
「そうなんですか?」
どうやらアッパーフロアの法律事務所にいるらしい。
「でね、付き合ってって言われたんだけど、生理的に合わないからって社長ったら、断っちゃったんだって」
「…もったいなーい」
舞は悲鳴に似た声を出した。
「そんなんだったら私がゲットしちゃおっかなー」
そこに晴加が戻ってきた。
「こら、無駄話してないで仕事しなさい」
「…はーい」
「ったく、これだからゆとり世代は困る」
ところで室長、と晴加は駿の机の前に立った。
「…社長に、何かあったんか?」
「それが、今朝がた当社の製品で被害に遭ったというクレームが来たそうで、もし何らかの事態が起きた際には対処するようにと指示がありました」
「…分かった」
駿は顔が険しくなった。