【完】『けったいなひとびと』
結論から言うと。
さやかの早い会見と対応のスピーディーな判断は、結果として一時的な売り上げの減少という浅傷で済んだといえる。
それでも。
まだ抗議はあったようで、
「原因の究明が済むまで、製品の自粛とコマーシャルの自粛」
という対処と、幹部の減給処分ということとなった。
ただし。
他社の同様のトラブルでは謝罪が遅れたりで回復まで二年近くかかったのと比較して、花輪屋の売上高の回復は四ヶ月後であったから、かなり迅速な判断であったとも取れる。
ちなみに。
原因は内部調査で、調合のわずかな配合ミスという結論に達し、工場でのラインを見直すなどで収益の下方修正を余儀なくされたが、
「間違ったことは正す、それでえぇと思います」
と、駿だけはさやかの方針に最後まで、異議を唱えなかった。
あまりにもブレないので、不思議がった舞に訊かれたときにも、
「えぇもんはえぇ、あかんもんはあかんってそれだけや」
とのみ言い、特に何かどうのこうのと言うようなこともなかった。