【完】『けったいなひとびと』
ようやくトラブルの処理が落ち着いた頃、駿は秘書室のメンバーで一席もうけた。
なぜか晴加だけは参加しなかったので、さとみと舞を連れて柏木のお好み焼き屋で小さな打ち上げを開いたのである。
どういう訳か駿は酒の席では仕事の話はせず、趣味の旅行の旅先でのエピソードや、周りにあった面白い話をする。
ときおり仕事の話で相槌は打つが、
「まぁ今日は今日、明日は明日やからね」
と、愚痴らしい話題も振らない。
なので。
「伊福部さんと飲むと楽しい」
というイメージが残る。
よく駿は「よく働きよく遊べ」と口癖のように言い、時々仕事人間のような感じになると、
「たまには遊べ」
と言ってくることすらある。
こうしたある種の余裕が、他の男にはない面であったらしく、
「これで顔がイケメンならねー」
と、さとみはその辺りだけを惜しんでいたのであった。