【完】『けったいなひとびと』
査察
ところで。
この日は割とスケジュールには余裕があり、秘書室の業務も比較的ゆとりのある状態であった。
が。
昼前になって電話がかかってきた。
「はい、秘書室です」
電話は受付からで、社長に会わせろという人物が来たというのである。
「アポイントがない方は面会を断ることになってますので、引き取りをお願いします」
電話を受けた舞が答えた。
それで面会の件は片付いたのであるが、昼近くなって再び電話が来た。
今度は広報部からで、
「創業家からお電話です」
聞くと、本間新之助が危篤状態になったとの話で、
「分かりました」
というと駿は上着をはおって、
「本間顧問が危篤だそうだ。ちょっと様子を見舞って来る」
駿は外出した。