【完】『けったいなひとびと』
こうして。
本間新之助の密葬が済んで、お別れ会は四十九日のあとという方向性で決まった。
会場は駿が例の謝罪会見のときに懇意になったホテルの広間を押さえた。
「世の中、何が役立つか分からんな」
思わず苦笑いしたが、なかなか暇はなかった。
花から祭壇から形式、さらには挨拶の順番から席次まで、本間家と交渉を重ねながら積み重ねてゆき、これであとは当日を迎えるだけとなった頃、
「実は秀島社長のことで、御曹司から内密の話があるそうで」
という連絡が来た。
「それはこちらの一存では決めかねます」
仮にもさやかは企業の責任者で、経営者は扱いとしては準公人である。
「それが御曹司は秀島社長と余人を挟まず、忌憚なく会談をしたいとの意向でありまして」
駿は何となくピンときたものがあったのか、
「会談の件はこちらで一旦スケジュールや稟議もありますので、保留ということでよろしゅうお願いします」
ということで預かって来た。