【完】『けったいなひとびと』
駿はさやかに報告をした。
「…秀島社長、いかがされますか?」
「お別れ会のときにでも、ハッキリ面と向かって断ったほうがいい」
それでないとしつこい、とさやかは嫌な顔をした。
「それでね伊福部くん」
「はい」
「君にはちょっと彼氏の役を演じてほしいの」
「…は?」
駿は目を丸くした。
「擬似でも彼氏がいれば、諦める率も上がるかなと」
さやかにすれば。
とにかく少しでも可能性があれば、その案は実行するという思考の持ち主なのかもわからない。
「まぁそれで諦めるのかどうかは、見当もつきませんが」
「これは社長命令だからね」
「…はぁ」
駿は冴えない返事をした。