【完】『けったいなひとびと』

本間新吾が来るのは想定に入れてあり、

「席次は分けてあります」

駿は言った。

本間新吾は上手にある遺族席の一番前の中央、マイクからは離れた場所である。

さやかは下手の会社関係者席の左端で、ドアのそばになっていた。

「これならまず、近寄れんやろ」

しかも。

関係者席の右端、つまり本間新吾の隣にあたるのは、例のモデルの岐部まりあである。

脇にはマネージャーと護衛もいる。

「さすがにテレビカメラもあるし、いかに御曹司でも無礼は働けんやろ」

かなり練りに練った席次であったと言っていい。

さらに。

遺族席には全て名前の書かれたプレートが準備されてある。

これなら問題はない。

あとは席につくのを待つだけであった。



< 58 / 128 >

この作品をシェア

pagetop