【完】『けったいなひとびと』
本間新吾が来るのは想定に入れてあり、
「席次は分けてあります」
駿は言った。
本間新吾は上手にある遺族席の一番前の中央、マイクからは離れた場所である。
さやかは下手の会社関係者席の左端で、ドアのそばになっていた。
「これならまず、近寄れんやろ」
しかも。
関係者席の右端、つまり本間新吾の隣にあたるのは、例のモデルの岐部まりあである。
脇にはマネージャーと護衛もいる。
「さすがにテレビカメラもあるし、いかに御曹司でも無礼は働けんやろ」
かなり練りに練った席次であったと言っていい。
さらに。
遺族席には全て名前の書かれたプレートが準備されてある。
これなら問題はない。
あとは席につくのを待つだけであった。