【完】『けったいなひとびと』
駿が本間新吾を案内して遺族席に座らせると、
「本日はテレビ取材がございますので、もしカメラをご遠慮されたい場合には、別室での参加となりますので、その際にはお声をかけていただければ、ご案内いたします」
どこまでも丁寧に、しかしその目は笑っていない。
「…しょうがねぇなぁ」
駿の迫力に気圧されて、いうことを聞かざるを得ない様子であった。
そこに。
通路を挟んで反対側に岐部まりあが座った。
隣には眼鏡をかけたマネージャーと、屈強そうな黒人の護衛がいる。
「…そうか、芸能人がいるからカメラがあるのか」
ようやく分かったらしい。
やがて。
「これより、株式会社花輪屋顧問・本間新之助様のお別れの会を執り行います」
司会の進行に沿って、まずは会社を代表してさやかの挨拶の番であった。