【完】『けったいなひとびと』
◇3◇

晴加


取り敢えず本間家の問題が片付いた頃、三浦紫は彼氏から五十三階にあったレストランにディナーに誘われた。

「珍しいね、護からレストラン行こうだなんて」

窓からは東京タワーも見え、宝石でもちりばめたような夜景が眼下にひろがっている。

「話があるんだ」

紫は意を決した顔で、

「あのね…もう、終わりにしたいんだ」

切り出されたのは、さやかと旧知の竹内護である。

「…実は僕も、紫には言わなかったけど新しく好きな女性が出来てね」

「そう…良かったじゃない」

紫は少しだけ笑顔になった。

「紫が僕を嫌いになるのは仕方ないさ。さみしがらせてしまっていたからね」

次こそは幸せにね、と護は席を立った。

「あとは僕がなんとかしておくから、紫は楽しんでていいよ」

一人テーブルに紫が残された。

「…護のバカ」

紫は涙ぐみながら、一人でローストビーフを食べた。



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