【完】『けったいなひとびと』
数日後。
紫が出勤する途中、交差点で見慣れた車を見かけた。
真っ白な護のポルシェで、助手席には女性が座っている。
「切り替え早いなぁ」
信号で停まった。
よく見ると助手席には、秘書室の堤晴加が座っているのである。
(…晴加ちゃんと?!)
しかし。
紫はそんなに驚かなかった。
「確か出来る女がタイプだったっけ」
秘書室の中で最も処理能力が高いのは晴加である。
舞とさとみも仕事は出来ないことはない。
が。
晴加にくらべると劣る面はある。
「まぁブレがないよね」
しかし。
紫といい晴加といい、なぜ花輪屋の女子社員ばかりなのかは、紫にも分からないままであった。