【完】『けったいなひとびと』
仮に晴加と弁護士が組んでスケジュールを漏らしていたとなると、これは情報の漏洩だけでは済まされない。
「なるほど、そこは事実として別件であとから訊く」
駿は社長室へ入ると、
「スケジュールデータ、漏れたみたいね」
「…はい」
「私も疑いたくないんだけど、晴加ちゃんは?」
どうやら報告は上がっているらしい。
「ただいま外出してまして、戻るよう指示を出したところです」
「伊福部くん」
「はい」
「万が一のときは、どうするつもり?」
さやかの声はいつもより低い。
「いざとなったら花輪屋は辞めて西陣に帰って、酒屋嗣ぐまでの話ですわ」
こういうときの駿ほど、開き直りの早いのもなかろう。
さやかは黙った。