【完】『けったいなひとびと』
西陣
駿は晴加の帰りを待った。
が。
戻るよう指示をしても晴加からの連絡もなく、結局はビルの施錠時間である午後の十時ぎりぎりまで晴加が戻ることはなかった。
駿は一旦川崎へ帰って、翌朝再び早めに出社し、
「まだ堤くんからは連絡はないみたいだが?」
と受付に確認をとったが、なしのつぶてである。
そうこうするうちに。
昨日の件で警視庁から二人ばかり来たので、資料を出して対応することとなった。
来たのは加藤と松尾という二人の巡査部長、つまりは刑事である。
「お忙しいなか恐れ入ります」
というとまず加藤巡査部長は、
「本間新吾が先日暴行事件で検挙されたのはご存じですか?」
というので、
「はい」
と、駿は答えた。