【完】『けったいなひとびと』
このような顛末で。
二人の刑事は去ったのであるが、これはさまざまな憶測を呼ぶことになった。
「伊福部室長が堤主任を警察へ売った」
ととられても、仕方のない話であったからである。
そこで。
その日から駿はさとみに、
「堤くんが戻るまで、きみが代理でこなせるようにしなさい」
とさまざまな事務の引き続き作業をし、その上で最後に社長室に行き、
「秀島社長」
と提出したのは、辞表であった。
「…どうしたの急に?」
「今回のスケジュールデータ情報の漏洩の責任を取るつもりです」
沈痛な面持ちで、駿は言った。
が。
さやかは辞表をつまみ上げると、真っ二つに両手で破いた。
「伊福部くんは辞める必要はない」
そうなると駿を起用したさやかも、辞任しなければならない。
「だから伊福部くんには、しばらく違う形で仕事を離れてもらう」
とだけ言い、
「追って処分が出るまで、自宅で待機するように」
という指令をさやかは出したのであった。