【完】『けったいなひとびと』
その頃。
東京本社ではさまざまな課題が起きていた。
まずさやかのスケジュールの調整に手間取るようになったのである。
それまでは判断力の高い晴加と、スピーディーな駿がいたから早くさばけたのが、急に処理が遅くなった。
二人では無理がある。
そこへ。
さやかがいた投資ファンドからの要請で、後見弁護人として竹内護が入ることになったのである。
こうなると。
時間厳守を重んじる財界の面々からは、
「急に花輪屋は動きが悪くなったな」
という評価が立つようになって、これは売り上げの下落に直結した。
ここで後見弁護人の護からは、
「とにかく売り上げを伸ばせ」
と営業にノルマ引き上げを指示した。
しかし。
「弁護士なんかろくに経営知らんのに、大きな顔をするな」
と、営業サイドからの反発が出てきたのである。