【完】『けったいなひとびと』
晴加が風呂から上がると、そこにはパジャマが用意されてある。
「駿のお古やけど、かんにんやで」
母親が支度したものらしい。
晴加は袖を通した。
駿に居間へ案内されると、
「ま、お腹も空いてるやろからご飯でも食べや」
晴加に膳が供された。
晴加は黙って、ガツガツと箸を動かした。
「そんながっつかんかったかて、米は逃げへんって」
よほど空いていたものか、二杯平らげた。
「今、ジャージは洗濯機で洗っとるから」
というと、
「それと、ポケットの中のはここにまとめてあるで」
と、駿の昔の給食袋を出した。
晴加はひっ掴むと、
「…あった」
覚書を確認したらしく、
「これで…助かった」
と言った。