【完】『けったいなひとびと』
落ち着いてくると、晴加は訥々と語り始めた。
「実は名古屋から歩いてきました」
というのである。
「…名古屋?」
「名古屋にイケメン弁護士の別宅があるんです。…まさか、あんな人だったとは」
というのである。
「イケメン弁護士…って、竹内護か?」
晴加はうなずいた。
「あの人、秀島社長が目当てだったらしくて…」
どうやらさやかに近づくために紫や晴加に接触し、用済みになったら捨てる…といったことを繰り返していたらしい。
「で、名古屋で監禁されてて」
たまたま数日前の大雨の日に窓が割れて、うまいこと鍵が開けられたのをきっかけに、歩いて逃げてきたらしい。
「とりあえず府警に連絡はしなあかんな」
「うん」
晴加はうなずいた。