【完】『けったいなひとびと』

落ち着いてくると、晴加は訥々と語り始めた。

「実は名古屋から歩いてきました」

というのである。

「…名古屋?」

「名古屋にイケメン弁護士の別宅があるんです。…まさか、あんな人だったとは」

というのである。

「イケメン弁護士…って、竹内護か?」

晴加はうなずいた。

「あの人、秀島社長が目当てだったらしくて…」

どうやらさやかに近づくために紫や晴加に接触し、用済みになったら捨てる…といったことを繰り返していたらしい。

「で、名古屋で監禁されてて」

たまたま数日前の大雨の日に窓が割れて、うまいこと鍵が開けられたのをきっかけに、歩いて逃げてきたらしい。

「とりあえず府警に連絡はしなあかんな」

「うん」

晴加はうなずいた。



< 85 / 128 >

この作品をシェア

pagetop