【完】『けったいなひとびと』

梅野屋と伊福部家は古い付き合いで、駿の曾祖母にあたる人物と、梅野屋の当時の女将が、新島宗竹という同じ茶の湯の師匠についていたところから始まっており、

「うちなんか家族みたいなもんや、なんかあったら私に言いなはれ」

というのが口癖である。

そこで。

夜分ではあったが、とにかく母親がうるさいので行ってみたのである。

すると、

「伊福部の若旦那(わかだん)さんやおへんか」

梅野屋の女将は何か察したのか客間に上げた。

ことの仔細を話すと、

「この女将に任しときなはれ」

と胸をポンと叩いた。

「しかし相手は弁護士でっせ」

「そんなん、なんとでもなりしますがな」

梅野屋の女将には何やら勝算があるようで、

「あんたはともかく、明日その晴加ちゃんとやらを支社長さんとこ連れてき」

と言った。



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