【完】『けったいなひとびと』
翌朝。
梅野屋の女将の言う通りに支社へと晴加を連れていった。
無論、例の覚書もである。
「伊福部、そら一大事やで」
支社長は府警に連絡を入れた。
いっぽう。
梅野屋の女将は、祇園の女将組合から何人かに声をかけたらしく、
「うちらは何代も伊福部酒店にお世話になってきた。今こそ、恩義を返すときである」
とぶちあげ、全員で東京へ要請に行くことが決まったのであった。
午後。
京都駅は時ならぬ着物の美女の集団があらわれたので大騒ぎになり、それが大挙して東京に行くと分かるや、
「東京なんかに負けたらあかんでぇーっ!」
と声が飛ぶほどであった。