【完】『けったいなひとびと』
この時期。
京都では保護された晴加が持っていた覚書の扱いが、支社内の会議で議題となっていた。
「この覚書が果たして本間顧問の意向として効果的かどうか」
という内容である。
新社長の就任を機に、駿は京都支社の営業主任に復帰を果たしたが、駿の一言が覚書のきっかけでもある。
「それなら、原因を作った伊福部くんに決着をつけてもらおう」
という結論となり、再び駿に東京へ行ってもらおう…という話になったのであった。
そのような経緯で。
約一年ぶりに駿は東京本社へと来たのだが、ここで紫やさとみ、舞と懐かしい再会を果たした。
涙もろいさとみは、
「伊福部室長…うわぁーん…」
と子供じみた声で、人目もはばからず号泣した。
「…秀島社長は?」
「辞めてからはどこにいるのかも分からなくて…」
舞は答えた。