【完】『けったいなひとびと』
こうしたなか。
さやかのもとには講演会の依頼が来るようになった。
「傾いた会社を二度も立て直した名君」
として、講演の依頼が来たからである。
講演は苦手であったが、
「まぁこんなときには自分から出て宣伝しなきゃならないしね」
と言い、なるだけ講演もこなすようになった。
慣れてくると話も少しずつうまくなり、時々だがテレビにも出るようになったが、
「あんまり出ないほうがいいかも」
と言って、露出は控え目にしていたようである。
こうして堅調に業績を回復させた頃、さやかのもとへ一通のハガキが来た。
小学生からのハガキで、
「肌が弱いママのために、優しい化粧品を作ってください」
という内容であった。