嘘つき赤ずきん 思春期オオカミ



──────────────

──────────

──────


時刻は、もう一時限目終了時間に迫っていた。


先程から、何やらソワソワしているクラスの男子生徒。


真央は、その様子をただ見ていた。


鈴は、相も変わらず大人しくお勉強。


元々、彼女は勉強を嫌う。


今日だけは静かだった。


そんな、彼女が目に入り真央は、少し後悔する。


(言いすぎたか……?)


罪悪感は、膨らんでいき、真央はたまらず鈴の肩を叩いた。



「……何?」


「もうすぐ、一時限目終わるぞ。どうすんだよ?」



鈴は、その言葉に黙秘を貫く。


そして、おもむろに立ち上がると、瑠香、由帆、香絵良と目を合わせた。


その行動に、真央は首を傾げた。



「……真央、それはね……」


「?」



キーン……コーン……


チャイムが鳴る。


と、同時に少女4人は。



「逃げる☆」


「は!?」



鈴のそんな能天気な声と、真央の驚きの声とともに、風をきりながら。


ものすごいスピードで、教室から姿を消した。


それは、僅か1秒の事だった。


男子生徒は、口を開けていたがすぐに正気を取り戻し少女4人の後を追いかけた。



『逃げたぞ!!』

『追え!!』



そんな叫び声が聞こえる中、真央はただただ、呆然と立ち尽くしていた。


森野は、このクラスの異常さに気づいていないのか。



「こらこらー廊下は走るなー」



と、興味がなさそうに教室から出ていった。









< 9 / 11 >

この作品をシェア

pagetop