嘘つき赤ずきん 思春期オオカミ
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時刻は、もう一時限目終了時間に迫っていた。
先程から、何やらソワソワしているクラスの男子生徒。
真央は、その様子をただ見ていた。
鈴は、相も変わらず大人しくお勉強。
元々、彼女は勉強を嫌う。
今日だけは静かだった。
そんな、彼女が目に入り真央は、少し後悔する。
(言いすぎたか……?)
罪悪感は、膨らんでいき、真央はたまらず鈴の肩を叩いた。
「……何?」
「もうすぐ、一時限目終わるぞ。どうすんだよ?」
鈴は、その言葉に黙秘を貫く。
そして、おもむろに立ち上がると、瑠香、由帆、香絵良と目を合わせた。
その行動に、真央は首を傾げた。
「……真央、それはね……」
「?」
キーン……コーン……
チャイムが鳴る。
と、同時に少女4人は。
「逃げる☆」
「は!?」
鈴のそんな能天気な声と、真央の驚きの声とともに、風をきりながら。
ものすごいスピードで、教室から姿を消した。
それは、僅か1秒の事だった。
男子生徒は、口を開けていたがすぐに正気を取り戻し少女4人の後を追いかけた。
『逃げたぞ!!』
『追え!!』
そんな叫び声が聞こえる中、真央はただただ、呆然と立ち尽くしていた。
森野は、このクラスの異常さに気づいていないのか。
「こらこらー廊下は走るなー」
と、興味がなさそうに教室から出ていった。