君の星、僕の星
ほんの一瞬、松田先生の顔から表情が消えた事に
気が付いたのは私だけだろう。
素知らぬふりを装って立ち上がり、机の中に忍ばせていた賞状と共に前に進み出た。
黒板の前で松田先生と向かい合う。
みんなが期待を込めた瞳で私たちを見ている。
「『感謝状。松田直樹殿』」
皆で考えた文面を、出来るだけ無感情に読み上げる。
委員長としての最後の仕事だ。
「『あなたはその親しみやすいキャラクターで、先生というよりは仲の良い友達のように、楽しく私たちに社会科を教えてくれました。』」
流れるように口を動かしながら、ちらりと目を上げると
「『先生はいつも……』」
松田先生が切ないくらいに優しい顔で私を見下ろしていた。