君の星、僕の星
息が止まるほど胸が痛んだ。
慣れない筆ペンで書かれた、柿谷くんの下手くそな字がぼやけていく。


声の震えを抑えられない。
踏ん張らなければ立っていられない。



「『いつも、笑顔で、一人一人と向き合ってくれました』……」



違う。
違う、違う、違う。


私が松田先生に伝えたいのは、こんな事じゃない。

教えてもらったのは世界の地理や偉人の歴史だけじゃない。


もっと、

もっと



「『一ヶ月間という短い間でしたが、先生は私たちにたくさんの思い出をくれました。感謝を込めて、表彰致します。今のまま、素敵な教師になってください。』」



堪えきれなかった涙が、ぽたりと床に落ちる。
せめてクラスメイトには見えないように、顔をわざと髪の毛で覆う。



「『平成29年3月1日。三年A組 生徒一同』」



好きだなんて言われた事は無かった。
言った事も無かった。


それでも、確かに恋だった。


私の高校生活は
あなたと過ごした五ヶ月間だった。
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