君の星、僕の星
「今月の魚座はー、恋愛運が絶好調!だって!」

雑誌を目の高さまで持ち上げ、アヤはきゃいきゃいとはしゃぐ。


「『彼の心に潜り込む大チャンス到来!思いがけないプレゼントが貰えるかも?』ひゃー、やったねぇ!未央、誕生日近いもんね!」


アヤの大声にすれ違った人が振り返り、隣を歩いている私の方が恥ずかしくなってしまう。


「アヤ、うるさ…」

「私の牡牛座は?あーーーダメだ!!恋愛運最下位!!」


ダメだ。聞いてない。
ふっと吐き出した白いため息は、北風に紛れすぐに消えた。


「ほんと好きだね、その占い雑誌。」

「すごーく当たるんだから、高宮ジュリエットの占い!」

「ジュリ……え?」

「ジュリエット!!」


きっと私を睨みつけるアヤを見て、思わず吹き出してしまった。


「うさんくさそー。名前からして。」

「もー、未央は。夢が無いなぁ!」

「ねぇ、その髪大丈夫なの?明日出られる?」


半歩先を歩くアヤの背中に問いかける。


「だーいじょうぶだって。先生もまさか卒業式欠席させる訳にいかないっしょ!」
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