君の星、僕の星
アヤは雑誌から目を上げずに言った。
一瞬言葉に詰まってしまう。


「……大学の友達じゃなくても。高校の友達とかさ」

「未央は県外の大学に行っちゃったもん」


ミオって誰だよ、という当たり前の疑問はあえて口に出さない。

彼女の話には、何の説明も無しに俺の知らない名前が突然登場する事がままあった。


「高校時代に一番仲良かったのは未央だけど。何ていうか、完全には心開いてくれてなかった気がするんだよね」

「なにそれ」

「難しいんだよ、女子って。」


履いているスカートの端っこを指で弄りながら、アヤは困ったように笑う。

黒と白のギンガムチェックのそれがグラフ用紙にしか見えなくて、来週中に提出しなければいけないレポートがある事を思い出す。
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