君の星、僕の星
「……それ、ホントに付き合ってないわけ?」
中学からの連れの早川の顔には信じられない、と書いてある。
同じく進学に伴い地元を離れた早川とは、大学は別だがしょっちゅう会っていた。
「ないわけ。」
「うっそだ、ありえねーだろ!」
お酒は20歳になってから、を忠実に守る19歳の二人は今日もいつものファストフード店で食事をしていた。
大学生になり飲酒を周囲に黙認されている友達も数多くいたが、厳しい野球部で監督及び先輩にしごかれた俺たちに法律を破る覚悟なんてあるはずなかった。
高校時代に部員の一人が『眉毛を剃らない』という部内の決まりを破りやがり、一週間黙々と町のゴミ拾いばかりさせられた思い出がどうしても蘇るからだ。
「達也はその子の事、好きじゃないの?」
「好き……じゃないんじゃないかな。そういう意味では」
「ちょっとでもいいなとか思わねーの?」
いい?
って、何が?
「……わかんねーよ。女子とまともに話すのなんて小学校以来だぞ。中高一貫男子校で、野球しかしてこなかったんだから」
「確かに。俺たち、ただのイガ栗坊主だったもんな。」
早川はフライドポテトを口に詰め込みながら頷いた。
その言い草に吹き出してしまう。
高校三年生の夏に野球部を引退したと同時に、六年ぶりに坊主頭も卒業する事を許された。
しかし髪は伸びても、中身は未だにイガ栗坊主のままだ。
女子との接し方なんて全くもって身についていない。