君の星、僕の星
明日の卒業式を待たずして明るい茶色に染められたアヤの長い髪は、夕日にきらきらと透けてきれいだ。
少しウエーブがかった癖毛に、よく似合っていた。


女子高生は忙しい。

雑誌の占いに一喜一憂してみたり
髪を明るくしてみたり、怒られて暗くしてみたり
スカートの長さを1ミリ単位で短くしてみたり
また怒られて元の長さにしてみたり


恋をしてみたり
泣いたり笑ったり。



「じゃあ、また明日ね!」


雑誌を大事そうに抱え駆けていくアヤに手を振り返す。

『また明日』とアヤに言えるのは、今日が最後なのだと気付いて
しばらくその場から動けなかった。


アヤはいつだって無邪気で可愛くて
不器用な私には、とても眩しかった。
その明るさが羨ましくて、一緒にいると元気になれた。

ふわふわの茶髪も、短いスカートも、赤いリップも
きっと私には似合わないから。



「……」



私たちは、明日
高校を卒業する。
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