君の星、僕の星
「……ちょっとは警戒した方がいいんじゃないの」


アヤが足を止め、一歩先の位置から俺を振り返る。


「え?」

「そうやって求められるままに連絡先とかバラ撒いて。変な奴に付き纏われたりしたらどうすんだよ」

「まっさかぁ、」

「わかんねーだろ。」


思わず語気を強めてしまった。
彼女の顔から笑顔が消える。


一見、隙だらけに見える彼女は
自分の危なっかしさをわかっていない。


正体不明な感情が苛立ちに形を変えて、胸の中で暴れ狂う。



「……だって。何て言って断ればいいの?どうやって言えば傷つけないで済むの?」

「俺が知るかよ。そんな事まで」



吐き捨てるようにそう言って、早足でアヤを追い越した。

達也、と後ろから名前を呼ばれたが振り向かなかった。
< 44 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop