君の星、僕の星
「お。いいところに来たな」


扉を開けた彼は、私の顔を見るなりニンマリ笑った。


「キミだけに特別課題を授けよう。俺の引っ越し準備の手伝いだ」

「えーっ」


脱いだローファーを揃えながら彼に続いて部屋に入る。
見慣れたワンルームの端には段ボールが積み上げられていたが、床に散らかった物の方が圧倒的に多かった。


「ちょ……全然進んでないじゃん」

「少しずつやってたつもりだったんだけどな。卒論が忙しくてね?」

「もー。」


とりあえずその場に屈み込み、余っていた段ボールを組立てていく。



「しっかりしてよ、先生。もう大人なんだから」

「はは、」



彼は短く笑って
私の隣に座った。


「ホント未央といると、どっちが先生かわかんねーな。」
< 5 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop