君の星、僕の星
ふとテーブルの下に目をやると、アヤの忘れ物の占い雑誌が置きっぱなしになっている。

ベッドから降りパラパラとめくると『高宮ジュリエットの星占い』というやけにカラフルなページがあった。


「お、」


そうだ、この名前だった。
アヤがよく当たると言っていた占い師だ。

科学的根拠に基づかない情報は日頃からほとんど信じていない。
それでも無意識に牡羊座の欄を目で追ってしまう。



「今月の運気は低迷気味。周囲と意見が折り合わず……」



ろくな事は書かれていなかったが、下に『ラッキーデー』が小さく載っていた。
今月で一番運勢の良い日、という意味らしい。

壁にかけられたカレンダーを見る。


「明日じゃん」


高宮ジュリエットとやらによると、俺が今月で一番ツイている日は明日のようだ。



『素直な言動を心がけましょう。』



「……うるせ。」


押しつけがましいアドバイスに悪態をつきながら雑誌を閉じた。
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