君の星、僕の星
アヤはこちらに背を向けたまま微動だにしない。


そのまま教室の入口に立ち尽くしていると、気配を感じたのかアヤが振り返った。
ロングスカートの裾が儚げに揺れる。



「……」



俺たちの他に誰もいない教室で。
時が止まってしまったかのように見つめ合った。



「びっくりした?」



しばらくしてアヤが口を開いた。
無理に笑おうとしているのがわかる。


「……したよ」

「普通に話しかけただけなのに。たった2人の女子だから仲良くしてもらおうと思ったんだけど」


彼女が零した物悲しいため息が、俺の鼓膜を震わせる。



「私、いつもこうなの。何でだろ。」

< 54 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop