君の星、僕の星
達也にとって、私は初めての彼女だ。

恋愛経験が無い事を彼が多少なりともコンプレックスに感じているのには何となく気が付いていた。


だからこそ本当に大切に想ってくれている。


その真っ直ぐな愛情が嬉しいと同時に
ほんの少しだけ、重たい日もあった。



「……寒くない?」



ベッドの中で達也が思い出したように言う。
一枚の毛布の下はお互い裸だ。


「うん。大丈夫」


私に覆い被さる達也に微笑んでみせると、その途端強く強く揺さぶられた。



「……っ、」



やっぱり違う。


キスの仕方も
うなじの匂いも。


体が感じる小さな違和感はやがて決定的なものとなり、頭にこびりついた瀬戸さんの残像を記憶の中で何度もなぞる。


もう二度と触れてもらえない現実を思うと
何だか全てがどうでもよくなった。


「……達也」


名前を呼ぶと、達也は動きを止めた。



「わたし、浮気してるよ。」


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