君の星、僕の星
結果的には一度きりでなんて終わらなかった。
むしろ再会したその日こそが始まりだった。


アヤの体の柔らかな抱き心地に俺は感動していた。


残酷な話だが妻が持っていないもの……或いは失ってしまったものをアヤはたくさん持っていた。



何度も逢瀬を重ねるうちに
彼女の笑顔が、甘い髪の匂いが
三日と空かずに恋しくなった。



早く家に帰ったって不妊治療で気がたっている妻に八つ当たりされるだけだ。
妻の方が辛いとわかっていても、俺だって仕事で疲れている。


アヤに会うのはガス抜きのつもりだったのかもしれない。


アヤにも恋人がいるようだったが、所詮体だけの関係だ。
お互い割り切っていると思っていたのに。




「どーすんだよ……」




俺がハンドルに頭を打ち付ける音だけが、無人の駐車場に響く。
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