アイビー。

「助けて!!」
ぎゅっと目をつぶる。


助けて、助けて!
誰か…


「壱っ!!」

こんな時まで頼ろうとする私は卑怯者。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
これで私が死ねば、壱は幸せになれる?

壱もこんな目で私を見るの?

「…お呼びですか?」

痛くない。
暖かさに包まれて、ゆっくり目を開ける。

「…壱…?」
「助けてって言われたもんですから」

振り向いた壱の目の下から血が出てる。

「血が…」
「あー、平気平気」

パーカーの袖でぐいっと拭うと、
すくっと立ち上がる。

その途端、温もりは消えて。
でも、強く抱きしめられた跡は消えない。

「なんで邪魔をするんだ…!俺の人生を奪ったこの女を殺して、僕は!!」

「殺させる訳にいかねーんだよ」
壱が男の腕を蹴りあげるとナイフが落ちる。

早すぎて、何も見えなかったけど。
いつの間にか男は取り押さえられてて。

苦しそうに、もがきながら。
ただ、私のことを睨んでいた。

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