アイビー。
次の日も、次の日も。


「見ろ!蒼依!!Sレアモンスターゲットした!」
「すごいじゃん、おめでとうー!」

「蒼依ー、甘いもの食いたいー」
「コンビニ寄ってく?」
「…おう。奢ってー!!」
「それは遠慮しとこうかなー」

いつも通り、

装ってるつもりなのに。



「おい、蒼依。最近なんなの?」
「え?な、何が?」
「この前のから、俺の目、見ないよな。よそよそしいし」
「別に、そんなことないよ」
「あんな事あった後だから、色々あるし、怖い思いしたんだから…って思ってたけど。」
壱が真っ直ぐ私を見てるのが分かる。

「俺だよね。蒼依が避けてんの。」
「…」
「何?言えよ。俺がウザいならそう言えばいい」
「違うよ!」
「じゃあ何?これのこと引きずってんの?」
壱がとんとん、と傷を叩く。

「…」
「って理由でも無さそうか。」

はぁー、ってため息が聞こえて。
すぐ、壱の目が目の前に。
「ひっ!?」

思わずはたいてしまいそうになって手が出る。

でも。
壱の目は、
あの男と全然違って。

声は怒ってたのに。
瞳は悲しそうな、寂しそうな。

「…え?」

「…ぶって、いーよ」
壱が目を逸らして笑った。


「…ぶたないよ…」
出しかけた手で、
そっと壱の顔に触れる。

「…ごめんね、壱」
痛々しい傷をなぞる。
もう瘡蓋になってる。

「…最近の蒼依は謝ってばっかだ」
頬を膨らませた壱の顔は、幼い頃とあんまり変わってなかった。


「うん、ごめん」

「俺のこと、嫌い?」
パチっと
目と目が合う。

「嫌いな訳ないじゃん」
って笑ったら

「なんで、泣いてんの」
って壱が涙を拭ってくれた。

ああ、私。泣いてたんだ
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