アイビー。
よく聞くのは。
恋が叶う縁結びの神社とか?

縁を結ぶことが出来るなら。
もちろん切ることだって出来る。


まぁ人は自分たちで勝手に切れるんだけどね。
プツンプツンって
よくもまあそんな簡単にって位。

そんな縁を切る神社、宗家の一人娘の私は跡継ぎになる訳で。

宗家を守るのが分家の仕事だから。
イチ達の家、分家は私たちを守らなければならない。
昔からこうやって、守られてきたのだそうだ。

『この仕事は人から怨みをかうことが多いから…』

って。
今時そんなの信じる人、いますかね?

まあ、私だって人から聞いたら信じなかっただろう。
でも、見えちゃうんだから。

人と人との縁が。

だけど絶対に切れない縁がある。
それが、私達。
宗家と分家の縁だ。

分家は一生宗家のために尽くして守り抜けって教わるらしいけど。

縛られて可哀想だなって。
こんな煩わしい縁、私だって切ってあげたいけど。
切れないから不思議だよね。

そしてうちの分家は、もともと犬の守り神だから。

イチはとにかく鼻が利く。

この特化した嗅覚は分家の印。

「イチ、お手」
「!!」

ポスっと置かれたイチの手。
「てめえ…」
「ごめんごめん、つい。」
「ついじゃねえ!」

念じて発した言葉に、逆らえない。

イチは。
本気の私の言葉には絶対に逆らえない。


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