アイビー。
『もう帰るの!?なんで?!』
『今日は早く帰らなきゃ行けないんだ』
『どうして?アオはまだ遊びたいのに!』
『そんなこといったって。5時までって約束だったし…』

『…っ』

『じゃあね、アオちゃん』

帰ろうとするイチを
『帰っちゃダメ!』

引き止めた。

お母さんは仕事だから。
広い広い神社の中に1人っていうのは。

幼い私にはなかなか寂しいもので。

分家だからでもいい。
そばにいてくれる人がいることが嬉しくて。


イチを離せなかった。


だけど。
その日は。

死んだ、イチのお母さんの命日だったのだそうだ。

家に帰って仏壇の前で泣くイチをみて。

2度とこの力は使わないって、心に決めた。


何が縁切りだ。

大事な縁は切れないくせに。



「お願いします!!アイツとの縁を切ってください!」

「分かりました」
ストーカー被害を受けているという女性。

どこかから強い強い糸が繋がってる。

プツン。
「悪い縁は切りましたから。もう大丈夫です」
「本当ですか?」

「はい。」
顔を上げた女性に微笑む。

「あなたに素敵な御縁がありますように」

決まり文句を呪文のように繰り返す。


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