アイビー。
あれから時間が経って。
とっくに忘れた頃に、事件は起きた。
「蒼依ちゃんはやっぱり柴崎君と?」
「…何が?」
「付き合うならって話!」
女子は本当にこういう話好きだなぁって。
適当に流す。
「蒼依ちゃんと壱君は幼なじみなんだよね?」
「幼なじみっていうか。まぁ、うん。」
「いいなぁ。仲良しで。」
ニコニコって笑うのは。
小さくて女の子っぽくて、可愛いと人気の美幸ちゃん。
「でも私らはそういうんじゃないから。別に好きで一緒にいる訳じゃないし」
ちょっとキツくいったせいか。
少し空気が張り詰める。
「ふーん」
頭上からよく知る声。
「イチ…」
聞いてたのか。
ますます重くなった空気の中で。
「それでもやっぱり。ずっと一緒にいれる人がいるのっていいなぁ」
って。
優しく美幸ちゃんが笑った。
「宇佐はイイヤツだなぁ」
イチは美幸ちゃんの頭をポンポンって撫でて、自分の席に戻っていった。