アイビー。
帰りのホームルームも終わって、みんな帰りの支度を始める。


当たり前のように壱は私を待っててくれる。

「壱、今日はちょっと用事あるから先帰ってて」
「は?何の用事?別に待つけど。」
「いや、大丈夫だから。」
「俺別に今日暇だし…」
「待ってなくていいから!別に、一人でも帰れるし!」

なんでこんなツンケンした態度をとってしまうのか。

「…わかった。」
「……」
「また明日な、蒼依」

壱が私から離れられないのは家柄のせい。

こんな関係じゃなかったら。
きっと壱は美幸ちゃんみたいに可愛い子を好きになって。
その子を守ってあげられるのに。

『蒼依ちゃん。壱君、蒼依ちゃんのこと大好きだよ。だからさっき、寂しそうだった…』

壱が席に戻った後、美幸ちゃんに言われた言葉が頭から離れない。

そんな訳、ないじゃん。
大好きなわけがない。
寂しい訳ない。

だって壱は私にずっと縛られてるんだから。

なんで私は結月蒼依で、
壱が、柴崎壱弥だったんだろう。

せめて普通の女の子なら…

きっと、

もっと。
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