如月探偵事務所‼︎①〜謎の力と仲間達〜
どうやってここに連れて来たの…
その不思議さに少し固まってってしまう
「大丈夫?立てる?」
冬雅は優しく私に手を差し伸べてくれた
そう言えば私
急に体が重くなってから
地面に座り込んだままだ…
「あ。ありがとう」
私が冬雅の手を取ろうとすると
「冬雅〜どこまで来てるの〜?
早く帰ろうよー!」
そう言いながら走ってくる小さな子。
あ。あの子は確か…
望月かお…
名前を思い出そうとしてる最中に
いきなり薫くんが私の顎を持ち上げた
「えっ…な、ナニ…」
戸惑う私をじっと見つめてくる
綺麗な瞳。
少し青っぽい…
そう言えば色白だし髪少し茶色いし
もしかしてハーフかな?
「お前まさか、冬雅に付きまとってるの?」
可愛らしい容姿とは正反対の黒い声
ゾワっ
と背筋に寒気が走ったのが分かった
「次冬雅に何かしたらぶっ殺すからな♪」
可愛い笑顔だけど目が笑ってない…
怖すぎる
ちがう。そんなつもりじゃない。
怖さのあまり声が
震えて何も言えなくなっていた
「薫‼︎違うよー。
さなちゃんはついさっき
僕が助けてあげた子なの‼︎」
ドヤ顔混じりに説明する冬雅。
「へぇー。
本当はピンチのフリしてたのかもよ?」
そう言って私を見下してきた
「ちっちがっ…」
声が出ない。体も動かない。
「おい。その辺にしてやれよ」
今度は後ろから声がした
え。いつの間に後ろに人が??
驚いて振り向こうとすると
ぽんっ
頭に大きな何かが乗って来たのが分かった
次第に暖かさが伝わって来た。
あ。これ…手…?
「薫。お前本当にこの子が
ピンチのフリをしてたのか?」
「葵…」
薫がそっぽを向く
「違う。本当にピンチだった。」
口を尖らせてそう言った
「そうか。
怖い思いさせて悪かったな」
ぽんっぽんっ
私の頭の上にあった手が優しく撫でてくれた。
私が上を向くと
そこにはやっぱり葵くんがいた。
「ん?どうした?」
葵くんと目があって不意にそらしてしまう
「なんでもない…。あ、ありが…と…う」
ドキ。ドキ。鼓動が速くなって
体が少しだけ暑くなったのを感じた。
ドキ。ドキ。
「だから言ったでしょ‼︎
僕がさなちゃんがピンチの時に
助けてあげたスーパーヒーローだって」
え。なんか大げさになってない?
「うるさい。
瞑ってもらえなかったくせに」
「はぁ‼︎そこは見んなよ‼︎」
「良いじゃん別に‼︎相変わらずまぬけだね」
「なんだと?」
「え?なに?この僕とやるの?」
あ。喧嘩が始まっちゃう
「や、辞め…」
「辞めろ」
葵くんが私とほぼ同時に言った
「だってこいつが」
「僕は悪くないもん」
ふくれっつらの2人。
でも葵くんの言うことは聴くみたい?
「さなちゃん‼︎家まで送っていくよ」
「えぇーほっとこうよこんな子」
「薫は黙ってて」
冬雅君が再び私に手を差し伸べた
「あ、ありが」
フワッ
再び手を差し出そうとした私の体が
不意に浮かんだ
あ。違う…これは…
お姫様抱っこ?!
「えぇ‼︎葵くん。下ろしてぇぇ」
「嫌だ」
高い。高いよココ
葵くん身長高いんだから…
「わ、私…ホラ‼︎重いし」
「確かに重いな」
「えぇ‼︎嘘‼︎」
入院生活でただで
さえ動かなかったからかな…
恥ずかしい。
「ふっ。嘘だよ」
笑いながら言う葵くん
葵くんが笑ったの初めて見た
「お前腰が抜けて、歩けねぇよ」
「え。あ、そう言えば…」
薫くんの時にガクガクしちゃってた
「ありがとう」
「いえいえ。
それにお前高いところ嫌いだろ。
下ろせって言うわりに
しっかり俺にしがみついてる」
ぁぁぁぁぁぁ‼︎
恥ずかしすぎる
「葵‼︎俺がさなちゃん抱っこしたいから
変わろうよー」
冬雅くんが私に手を伸ばす
冬雅くんも背が高いけど
葵くんよりは高くないから
まだマシかも…
私が冬雅くんのところに
手を伸ばそうとすると
ぎゅっ
私は強く抱き抱えられた
「だめだ。さなは俺が抱く。」
さ、さ、さ
さなって…呼び捨て…
ドキドキドキドキ
ドキドキが復活…
何この状況。沸騰しそう
プシュー
「えー俺が…
ってさなちゃん?さなちゃん‼︎」
冬雅くんの声がだんだん遠くなって
私は目を閉じた。