サヨナラ愛した人【短編】

アイツは特に体が弱い理由でもないし、不幸体質って理由でも無いけど、


時々、ホントに時々、儚く綺麗に笑うことがあった。それが私にこんな事を思わせた原因だろう。



アイツはとても綺麗なヤツだった。
女の私が言うのもなんだか癪だが多分そこら辺の女より綺麗だった


切れ長で二重の目も薄い唇も白い肌も真っ黒でサラサラな髪もすぐに紅くなる頬も私を抱き締める細くしっかりとした腕も全部全部綺麗だった





────全部全部が大好きだった




そんなこと考えてももう私を抱き締めてくれるアイツはいないし、この思いの伝える宛が無い。



一度くらい、「好きだ」っ言っとけば良かったかな、とか今更ながらに考える。


今までずっと好きを伝えてくれたのはいつもアイツからで私はうん。と答えただけ。



それでも嬉しそうに笑っていたアイツは多少、いや大分変なヤツだったのではないだろうかと思う。


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