サヨナラ愛した人【短編】
そう言えばいつか話していたことがあったっけな。
きっかけは多分アイツの言葉だった気がする。
そう、「明日、死ぬとしたら何しようか」って私に聞いてきたんだ。
そんな事知るわけがない。
私はそう答えた、私はわざわざそんな事考える性格もしてないし、ちゃんと答えてやろうという優しさも残念ながら持ちあわせていない。
するとアイツは「だと思った。」
と答え、俺はね─と続けた。
私は知らないと言っているのに話し続けるなどなんて勝手なヤツだろうと思いながらも何も言わず聞いて上げた。
...私にも多少の優しさはあったらしい。
「取り敢えずめちゃくちゃ美味しいケーキを理央と一緒に食べるんだ、その後2人でのんびり散歩してさ、その後、あぁスターチスの花束をキミに贈りたいな」
「スターチス?何それ花?」
「勿論花だよ。ドライフラワーにすることが多いんだけど、凄く可愛い花だよ」
私が興味を持ったことが嬉しいのかニコニコしながら説明するアイツには悪いが素っ気なくふーん。と返す
「最後は、そうだな2人で綺麗な夜空を見ていたいな」
そんな事を言っていたアイツだが、結局高いケーキも食べれず、スターチスだか何だかを私に贈ることもできず、綺麗な夜空を見ることも出来なかった。
──本当に可哀想なヤツだ。