サヨナラ愛した人【短編】
「何かお探しですか?」
振り向けばニコりと笑う優しそうな女性。
多分店員さんかな。
「あの、スターチスってありますか?」
そう聞けば、ありますよと言い店のショーケースの中から小さな花を取り出す。
紫、ピンク、黄色、白と色とりどりの小さな可愛い花。
─可愛い。
思わずそうもらすとその人はふふっと笑う
「そうですよね。でもこの色づいている部分は萼[がく]なんです。花が落ちてもこの美しい萼は残るから永遠の花なんて呼ばれることもあるんですよ。」
確かに良くみると内側に白い小さな花があった。
あら、ごめんなさい。ついお喋りになっちゃって。
そう謝る女性は「これ、どうします?花束にもできますよ。」と私に問いかける。
それじゃあ、お願いします。と私が答えれば慣れた手つきで花束をつくっていく。
完成した花束はピンクと紫を基調とした可愛らしく綺麗な花束だった。
「スターチスの花言葉には永久不変や変わらぬ心、愛の喜びなんて花言葉があるんですよ。」
最後にそう言って花束を渡してくれた女性にお礼を言い、また歩き始める。