サヨナラ愛した人【短編】
気がつけば周りは真っ暗で空を見上げれば綺麗な星空だった。
そういえば…と思い美羽さんから渡された手紙と袋を出す。
月明かりを頼りに袋を開けて中のモノを出す。
──チャリ
中に入っていたのはロケットチャームのネックレスだった。開けて見ると小さな花が押し花になって入っている。
あれ...これ。
その花を月明かりに照らしてよく見てみると今日見たばっかりの花
──スターチス
偶然、そう偶然だろう。
もう一つ、アイツからの初めての手紙
『理央へ
誕生日おめでとう。ついでに俺も。
理央に手紙を書くのは初めてなので少し照れますね。
かなり前に話してた事覚えていますか?
死ぬとしたら何したいかってやつです。
僕はつい最近思いだしました。
雑貨屋さんでそのネックレスを見つけた時です。
そんなこんなで別に死ぬ予定がある訳では無いですが、
キミにスターチスの花束を送ります。
流石に花束はやめました(笑)
雪人より』
アイツの少し右上がりの丁寧な字。
──なんでアイツは私に手紙を書いたんだろう
──なんで私にネックレスなんて買ってくれたんだろう
まるで、自分が死ぬのを分かってたかの様じゃないか。
そんなはず無いのに、そう思ってしまうくらいに偶然が重なる。
──もし、私に手紙を書かなかったら
──もし、私にネックレスを買わなかったら
もしかしたら、2人でお互いの誕生日を祝えてたかもしれない、今ここでキミの笑顔が見れたかもしれない
そんなこと考えても無駄なのは分かっている、分かっているけど
どうしようもなく、考えてしまうんだ。
いつの間にか手紙の文字が滲んでいる。
それで気が付く。
────私、泣いているんだ。
気付いてしまえば涙はもう止まらなく溢れるだけだった