私限定の甘さ
本当に幸せそうに笑う俊。
本当にびっくりだよな…。
あの女嫌いな俊がこんなに笑顔になるなんて。
西野には感謝だな。
…まぁ、西野にだけ甘いってだけなんだけど。
「じゃあ、行ってくるね!」
「いってらっしゃーい」
そう言いながらスマホをいじる怜。
ドアがバタンッと音をたてて閉じた。
「怜」
後ろから怜を抱きしめながら名前を呼ぶと、
ビクッと震えたのが分かった。
「…なに?」
ぶっきらぼうに言うけど、照れてることなんてお見通しだから。
「好きだよ?」
「なっ!?」
びっくりしたのか急に俺の方を振り向く怜。
赤くなった顔。うるうるとした目。赤い唇。
怜がこんな顔をするなんて西野は知らないんだろう。
「怜…そんな顔しないで?可愛すぎるから…」
すーっと怜のサラサラな髪を撫でながらそう言った。