私限定の甘さ

すごい行列だけど、20分ほどで乗れそう。

少しずつ前に進んでいく行列。

いよいよ、私たちの番。


「彼氏さんは後ろに乗って、彼女さんは前に乗ってください。」

係員の人に言われた通り、浮き輪の上に座る。


…意外と密着するもんなんだ。

まるで後ろから抱きしめられているみたい。

今から落ちるというのに違う意味でドキドキしちゃう…。

こんなに近かったら心臓の音聞こえちゃうよ…。

ドキドキッ──

ほら今後ろから聞こえた!

…ん?後ろから?

不思議に思った瞬間、浮き輪が押され、急なスライダーをすべり始めた。

「っきゃ!」

「うわああああ!!」

猛スピードで落ちていく私たち。

出口が見えたと思ったら、バッシャーんと音とともに水の中に落ちた。
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