私限定の甘さ
「私、男子の名前おぼえてないんだもん」
「でも、さすがに高橋くんのことは知らないとまずいでしょ…」
え、なになに。
高橋くんって人、そんなに有名なの?
「そ、そんなにまずいの?」
少し焦りながら聞いてみた。
「うん。フルネームは高橋響也くんって言うんだけど。高橋くんってすっごいイケメン、おまけにクールで女子に人気なんだよ。
うちの学校の男子で、光、高木の次に人気みたい。まぁ、私は興味ないけど」
へぇ…。
そんなに有名だったんだ…。
てか、光くんは知ってたけど、俊ってそんなに女子に人気なんだ…。
…知らなかった。
少し暗くなる気持ちを隠して、怜に聞いてみた。
「で、その人気の高橋くんってどこにいるの?」
「教卓の前にいるよ」