私限定の甘さ

俊は、一瞬、驚いたような顔をしたけどすぐに元の笑顔に戻る。


「ご、ごめん
ちょっと嫌なこと思い出して」


「嫌なこと?」


「そう…
すっごい嫌なこと!」


そ、そこまで?

なんだろう…嫌なことって。

すごい気になる…けど。

俊の顔が怖くて聞けない…。


「実はね、クラス全員でコスプレすることになったんだ…」


「…へ?」


それだけ?

あんな怖い顔してたのに、考えることがどうでもいいというか…。


「そ、それだけ?」


「ち、違うよ!
いくらなんでもそれだけでこんなにキレないよ!」


少しホッとした。

だって、そんなに俊は怒りっぽいのかなと思ってしまった。
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