私限定の甘さ
「なぁ、西野」
「なに?高橋くん」
私がそう答えると少し不機嫌そうな顔をする。
「その『高橋くん』っての嫌。
響也って呼べよ」
「え?…でも」
「いいから呼んで」
私…俊以外の男子を下の名前で呼んだことないのに…。
少し緊張するかも。
「き、響也…くん」
少し赤くなった顔で響也くんを見上げる。
するとなぜか響也くんまでが顔を赤くする。
「ん…合格」
よしよしと私の頭を撫でる響也くん。
その時、下校のチャイムが鳴る。
「…あ、もうこんな時間か…
帰らなくちゃ」
窓の外を見るともうすっかり夜となっていた。