私限定の甘さ
「俺も分からない、どうすればいいか
なぁ、西野、教えてくれよ」
切なそうな顔で私を見つめる。
「諦められないんだよ…
わかってる、西野が俺を友達としか見ていないこと。でも…でも…」
急に腕を引かれ、そのまま響也くんの胸に
当たる。
「好きなんだよ…西野」
ドキドキする。
今、響也くんに抱きしめられている。
そのことを理解した瞬間、響也くんを突き飛ばす。
…知らなかった。
響也くんは、他の子が好きなんだって。
そう思っていた。
「あの…私…」
ガラッ──
私が話そうとした時、私の声は扉が開く音にかき消された。
振り返るとそこには…。
「俊…」
傷ついた顔をした俊が立っていた。